2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- another side Ten --**



「……本当に……すまない」


長坂さんはそれから、あたしのどんな言葉にもこれしか言わなかった。


思いつくだけのありったけの非難の言葉、ありったけの罵倒、ありったけの、この行き場のない気持ち。


それを延々、あたしは長坂さんに浴びせ続けた。


バシャーン!


ガラス製の花瓶を思いっきり床に叩きつけた。


花瓶は割れて、水と破片と花が床一面を覆った。


バサッ!


買ってきた小さな花束で長坂さんを何度も何度も殴った。


ボカッ!ドカッ!


フルーツバスケットの果物を、大きいものから小さいものまで全部投げて、全部長坂さんに命中させた。


それでもなお、長坂さんは無抵抗だった。


「……本当に……すまない」


それの一点張りだった。


そのうち、あたしが暴れる音を聞きつけた看護師たちがあたしを取り押さえに来た。


数人に取り押さえられながらも、あたしは病室を出るまで長坂さんを責め続けた。
 

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