2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eleven --**



内緒でお金を貯めてくれていたことや、ワタシが求める“父親”を見せようと見栄を張ってくれていたこと。


ワタシの知らないところで、一生懸命ワタシを想ってくれていたこと。


そういう部分をあんなに穏やかに告白されたら、ワタシだけ責めるなんてできなかった。


ただ根本的に違うのは、あの人が結婚生活で感じたという孤独。


やっぱりワタシとあの人とでは、孤独の種類も感じる重みも違うと思う。


ワタシはベンチから腰を上げ、この前直貴がやっていた通りに木の根元にしゃがみこんでみた。


あの時だって何をしていたかは分からなかったけど、たぶん地面や幹に手を添えて、弟さんに何かを話しかけていたんじゃないかと思う。


――直貴みたいにカッコよかったんだろうな……。


そう思って、名前も聞いていなかった弟さんを思い浮べた。


目を閉じて、地面に手をついて、ワタシの頭に直貴の弟さんをイメージさせる。


でも……。
でも、浮かんでくるのはなぜか直貴のことばかり……。
 

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