2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eleven --**



ここまで往生際が悪いと、ワタシは天才なのかもしれない。


ちゃんと諦めようと思ってあの人に会いに行ったのに、そこで好きな人がいると見透かされて飛び出してきて。


それで、どうしようもなくてこの場所に足が向いて。


ワタシの頭の中にも心の中にも、大切な人たち、雪、ヒデ、そして直貴。


それしか出てこない……。


ワタシは、またいつの間にか泣いていた。目に涙がたまって、世界がぐにゃぐにゃに見える。


「……ねぇ弟さん、もうすぐ死ぬんだって、ワタシ……」


ワタシは地面に向かって弟さんに話しかけた。


「これから死ぬ人が人を好きになるっておかしいと思わない?」

「今までちゃんと生きてこなかったワタシへの天罰だよね、これって……」


溢れる涙をコートの袖で何度もぬぐいながら、返事も返ってこない地面に向かってワタシは話しかけ続ける。


「弟さん、死ぬときってどんな気分だった?」

「直貴はね、あなたを死なせたと思って後悔してるんだよ?」
 

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