2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eleven --**



「……雪ちゃんから電話もらって……聞いた」


直貴は泣きそうな声で言った。
その“聞いた”という言葉を聞いた瞬間、ワタシはもう直貴の顔を見ずにはいられなかった。


「……こんなに早くバレるとは思わなかったな。演技ヘタクソじゃん、ワタシ……」


心や涙や頭……体のいろんな部分のリミッターが勢いよく外れて、ワタシはわけも分からずただ直貴を見て泣いている。


「……だてに栞を好きなわけじゃないからな」


直貴はそう言って、ジャケットの袖でワタシの涙を拭いてくれた。


「……ワタシが怖くないの?」


ワタシは、この病気になってから一番聞きたかったことを思い切って聞いた。


「どうして?」

「……」


直貴の問いに、質問したワタシが答えられなかった。


「栞はどこも変わらない。みんな一緒の人間じゃん。怖いわけあるかよ」


直貴は今、ワタシが一番ほしかった言葉を一点の迷いもなく言い切った。


そして、直貴はゆっくりワタシの隣に座った。
 

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