2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eleven --**
栞は、自分が怖くないのかと俺に聞いた。
そんなわけあるか。
栞は栞だ。病気にかかったくらいで離れるなんて、そんなのは好きのうちに入らない。雪ちゃんだってヒデだってそうだ。
エイズを発症しないで人生を終えられる人だっているじゃないか。
曖昧な知識だけど、どこかの本で読んだことがある。仕事だって結婚だって普通にできるんだ。
俺の気持ちが変わらないことが何よりの証拠だ。
分かってるか、栞。
少しだけ正直になればいいだけなんだよ。
俺が生まれて初めてあんなに回りくどくて長い告白をしたとき、栞は声を上げて泣いた。俺の背中にしがみついて泣いた。
それでいい。
弱いところを見せたくないと気張らなくていい。
年上とかプライドとか、そんなのは排水溝に流してしまえばいい。
どこまでも流してクジラのエサにでもしてしまえばいい。
そしたら消えてなくなるだろう?プライドなんて持っていたって、何にもならないときがある。