2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eleven --**



栞は今、そんな畑の肥やしにもならないプライドと決別したんだ。


これからは自分にプライドを持って生きればいい。


そうしよう、栞。
俺も雪ちゃんもヒデも、そんな栞を離したりはしない。離れたりなんかしない。


栞が声を上げて泣いていたとき、俺も本当は泣きたかった。


でも栞は、俺が泣いたら“もう大丈夫だから”とか言って泣き足りないのを我慢するかもしれない。


だから俺は泣かなかった。
だから俺は、栞の前ではもう泣かないと決めた。


やっと気持ちがつながった。
体なんかつながったって好きだということにはならないだろう。


栞が求めるのはそこなんじゃないかと思う。


ヒデたちみたいにはできないかもしれないけど、これが俺たちの“好き”の形だ。


きれいな形じゃないか。
世界中のどんな恋人たちよりもきれいな形じゃないか。


樹紀、お前にできなかったことを俺は栞に全部してやろうと思う。


だからここで見ていてくれ……。
 

< 257 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop