2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eleven --**
それから俺は、栞が落ち着つくのを待って、クリスマスに渡せなかったプレゼントを渡した。
ムーンストーンのネックレス。
真珠みたいにまん丸なその石は、栞の心の形。
昔ばなしで『かぐや姫』ってあったのを栞は覚えているかな。
昔ばなしのかぐや姫とはずいぶん違うけど、栞は俺にとってのかぐや姫だ。
かぐや姫のほかに、栞がどうしてあまのじゃくな姫なのか、そういうこともこの場所で言いたかったけど、気づくと辺りは真っ暗だった。
栞の手を取ると、本当に冷たかった。残念だけど、話の続きは暖かい場所に行ってから話すことにした。
それに、栞の部屋の前ではヒデと雪ちゃんが待ってくれている。
栞を探している途中でヒデからも連絡があって、そうしていると言っていたから。
俺だけ栞を独り占めするわけにはいかないもんな。
俺はヒデと雪ちゃんを、それぞれ父上と母上に見立てて「帰ろう」と促した。
それは、俺が今できる精一杯のジョーク。