2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eleven --**



それから俺は、栞が落ち着つくのを待って、クリスマスに渡せなかったプレゼントを渡した。


ムーンストーンのネックレス。
真珠みたいにまん丸なその石は、栞の心の形。


昔ばなしで『かぐや姫』ってあったのを栞は覚えているかな。


昔ばなしのかぐや姫とはずいぶん違うけど、栞は俺にとってのかぐや姫だ。


かぐや姫のほかに、栞がどうしてあまのじゃくな姫なのか、そういうこともこの場所で言いたかったけど、気づくと辺りは真っ暗だった。


栞の手を取ると、本当に冷たかった。残念だけど、話の続きは暖かい場所に行ってから話すことにした。


それに、栞の部屋の前ではヒデと雪ちゃんが待ってくれている。


栞を探している途中でヒデからも連絡があって、そうしていると言っていたから。


俺だけ栞を独り占めするわけにはいかないもんな。


俺はヒデと雪ちゃんを、それぞれ父上と母上に見立てて「帰ろう」と促した。


それは、俺が今できる精一杯のジョーク。
 

< 258 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop