2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Two --**
ちょうど空き缶を両手に2本ずつ持ったところだった。
――あ!冷蔵庫。
パッと閃(ヒラメ)いたのは、何も入っていない冷蔵庫だった。
急いで空き缶を隠すと、ワタシは鍵を開けた。
ギィーッ。
「どうぞ。ここにある段ボールで全部ですから」
ワタシは狭い玄関先で引っ越しの荷物について説明した。
「分かりました。それではさっそく運びだしますね」
――なに?この営業スマイルは。あんまり見えないけど、そんなに笑わなくてもいいんですけど。
心の中でそう思ったけど、顔に出さないように引っ越し屋さんを部屋に入れた。
その引っ越し屋さんは、ざっと見たところ身長180センチくらいありそうな長身だった。
コンタクトをしていないからはっきりとは見えないけど、なかなか端整な顔立ちだった。
1人でテキパキと段ボールを運びだす様子を見ていると、なぜだかカッコいいとさえ思えてくる。
ワタシには、とても不思議な引っ越し屋さんだった。