2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Twelve --**
その声とともに、ワタシの体にふわっと直貴の体が重なった。
後ろから抱きしめられる格好で、直貴の体温や鼓動や腕の重みが背中を震源にして全身を震わせる。
ワタシは、お皿とスポンジを持つ手が一瞬にして止まった。
「……す、少しだけ……」
「我慢しなくていいからな」
「うん……」
――やっぱり直貴はすごい。
ワタシはまた直貴の胸を借りて泣いてしまった。
どうしてこんなにワタシの気持ちが分かるの?直貴は。
好きになってはいけないとずっとセーブしてきた気持ち、もう止められなくなっちゃったよ……。
後片付けも中途半端に、ワタシは直貴に促されるままクッションの上に戻り、気が済むまで泣いた。
シチューを食べ終わったときから直貴は眠そうな目をしていた。
それにも関わらず、直貴はワタシの気持ちを優先してくれて、その大きな胸で泣かせてくれた。
あの川原で会ったときから直貴の目が寝不足で充血していたのは分かっていたのに。