2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- another side Twelve --**
その涙の1粒は、狙ったかのように見事にカップの中にポチャンと落ちた。
「……」
ヒデくんはとっさに返す言葉が見つからなかったみたいで、何も言わなかった。
「あたしと同じことを桃原さんにも言うつもり?同情なら離れろ、このまま栞ちゃんを1人で病気と闘わせろ、そう言うつもり?」
「……何もそこまでは……」
「ヒデくんが言ったのはそういうことだよ。見捨てろって言ってるのと同じことだね」
あたしはヒデくんが反論しようとするのを止めて、一気に言った。
バンッ!
ヒデくんはテーブルを両手で思いっきり叩いた。
「見捨てろなんて誰も言ってねぇだろが!」
初めて見たヒデくんの怒った顔。声も大きいし顔も怖い、叩いたテーブルの音にあたしの体はビクッとした。
でもあたしはひるまない。
栞ちゃんを、大事な友だちをバイ菌みたいに言われて黙ってなんていられなかった。
「もうあたしたちの前に現われないで」