2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- another side Twelve --**



あたしはそう冷たく言い放って、ヒデくんを思いっきりにらんだ。


「栞ちゃんに変なこと言ったら、あたしはアンタを殺しに行く」


最後の捨てゼリフ。
ドスのきいた低い声で、あたしはヒデくんに別れの言葉を言った。


そしてそのまま、呆気に取られるヒデくんを残してファミレスを出た。


長坂さんがいる病院から逃げてきたとき、あんなに頼もしく感じたヒデくんの手だったのに……。


全部、今日の24時間の間に起こったことなのに……。


桃原さんの親友だから、桃原さんと同じ気持ちで栞ちゃんの病気を受け止めてくれる、そう思ってたのに……。


あたしの勘違いだった。
あたしがヒデくんからもらいたかったのは、そんな言葉じゃなかった。


“同じ人じゃないか”
“栞さんの病気なんてオマケだ”
“支えられるところは支えよう”


“みんなで一緒に病気と闘っていこう”


あたしの大好きな子どもみたいな笑顔で、そう言ってほしかったのに……。
 

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