2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Thirteen --**



「……ねえ直貴、直貴は本当にこれで……」


ワタシの涙声の問いかけは、むなしく暗い部屋にひっそりと吸い込まれるだけ。


「直貴、今幸せですか……?」


何度も何度も、そう問いかける。


ワタシは伸ばした片手を額に当てて、その手の下で固くまぶたを閉じて、声を殺して泣く……。


毎晩のように、ベッドに入るとそんなことをしてしまう。


直接は聞けない、直貴への質問。代わりに聞いてくれるのは、この暗闇だけ。


ワタシに残された時間のことも告白できない、一番聞きたいことがどうしても聞けない……。


要は、自分が一番かわいいみたいな考えなんだ。


自分が傷つくのが嫌、拒絶されるのが嫌、離れられるのが嫌……。


自分かわいさのあまり、ワタシはまだ直貴に嘘をつき続けている。


余命のこともそう。
過去のこともそう。


甘えすぎだってくらい甘えているのに、ワタシはまだ直貴に甘えようとしてるんだ。


こんな自分が情けなくて嫌になるよ……。
 

< 289 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop