2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Thirteen --**
次の日の朝、目が覚めると俺は床で寝ていた。
胸の中で泣かせてあげているうちに、ミルクのような甘い匂いと絶妙なフィット感にやられていたようだ。
体は痛かったけど、それでも、寝ている間に栞が布団をかけてくれたことや、またこうして一緒に寝れたこと、そっちのほうが何倍も俺の気持ちを幸せにしてくれたんだ。
そして、初めて俺の名前を……、『直貴』と呼んでくれた。
前までは、ストーカーだとか引っ越し屋だとか、それも間違いじゃないけど名字ですら呼んでもらえなかった。
――直貴でよかったぁ〜、俺。
栞に名前を呼んでもらって、俺のテンションはみるみるうちに上がった。
寝起きのまだトロンとした目を見ていると、俺は気持ちを押さえきれずに栞のおでこにキスをしていた。
人生の中での、このたったひとときの幸せを死ぬまで忘れないように……。
そんな思いもあって、そのあと俺は、ギュッと抱きしめて全身に栞の体温を記憶させていったんだ。