2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Thirteen --**
栞は焦っているんだろうな……。
遊園地では、1日で乗り物を制覇したいと言った。
水族館では、全部の生き物を今日見たいと言った。
まるで“これが最後になるかもしれないから”と言っているみたいに俺には聞こえてならなかった。
そのとき俺は、あえて
「またいつか来よう」
と言った。
“いつか”を何十年も先の未来に置いて、そう言ったんだ。
そして決まって、栞の手を握って精一杯の笑顔を添えた。
栞が撮った写真の中の俺はちゃんと笑えていただろうか。
心からの幸せそうな笑顔ができていただろうか。
正直に言うと、まるで自信がないんだ……。
せめて2ショットで撮った写真の中では、あとで栞が見たときに悲しくならない笑顔ができていればいいんだけどな。
好きな気持ちが悲しみなんかに負けちゃいけないんだ。
こんなに元気でこんなにたくさん笑う栞が、病気を発症するわけなんてないんだ。