2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Thirteen --**
「桃原君が運んでいる荷物のお客様、予定の時間より早く向こうに着きそうだから、って連絡が入ったの。悪いけど、少し急いでね」
「はい、了解です」
「ところで桃原君、今高速じゃないの?」
「あ!ジュース買いたくてパーキングに入ったばかりなんすよ」
「そう。じゃあよろしくね。気をつけて」
『ツー、ツー、ツー……』
そんな数十秒の電話。
――パーキングにいる理由、吉田さんに嘘ついちゃった……。
それにしても、よくとっさにあんな嘘が思いついたもんだな。
大学まで行った俺の頭もだてにバカじゃないことが分かってホッとした。
そんなこんなで、急がなくちゃいけない理由もできたもんだから、俺は短くしかメールを返せなくなった。
ただ『プーさん』とだけ急いで打って送信。
栞には悪いけど、時間がなかったんだ。
パッと浮かんだものも、雪ちゃんからもらったプーさんしか思い浮かばなくて。
やっぱり俺はアホだった。