2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Two --**
すごく悲しそうな目をしたその人は、ほんの少しだけ笑った。
ワタシはこういう目や顔を知っている。……10歳になったばかりのワタシだ。
ひねくれ者のあまのじゃく。クラスのみんなからも、担任の先生からでさえも、ワタシは“おかしい”と言われていた。
ワタシは、本当によく笑う子だった。でも、同時に笑わない子だった。
心の底から笑ったことなんて1度だってありはしない。笑う“まね”をするだけ。
余計な同情も優しさも、目に見えないものだからないのと同じ。信じたりはしなかった。
そんな目をしたまま大人になったワタシは、一瞬でもその人の目をワタシと同じにしてしまった。
昔のことが頭の中を走馬灯のように駆け巡る中、ワタシはベッドから立ち上がった。
「足元フラつくんなら俺の肩貸すけど」
「いらない」
またワタシは人の善意を振り払ってしまった。
「……そう。余計なこと言って悪いな」
「ほんと。ワタシは1人で立てない女じゃないから」