2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Fourteen --**
「ごめん……、話したくないなら無理に言わなくてもいいから」
直貴はワタシから視線をそらし、少しうつむきながら手を離した。
「うん……」
それからの食事の時間はほとんど無言だった。
触れてはいけないところに触れてしまった……腫れ物をつついたような感覚。
それを2人とも処理できなくて、どうにもならないという空気が漂っていた。
9時を回ると、直貴は母さんが心配するからと言って腰を上げた。
「直貴……、ごめんね。ちゃんと話すから、もう少しだけ待って」
玄関先で靴を履く直貴の背中にワタシは言った。
「いいよ。俺が悪かったんだ、ごめん……」
直貴は振り返ると、バツが悪そうな、申し訳なさそうな顔をしてそう言った。
「あ、あの……、今日バレンタインだし、これ」
最後に直貴の笑顔が見たくて、渡せそうな雰囲気ではなかったけど、チョコとプーさんマスコットが入った袋を渡した。
直貴は少し目を見開いて、驚いた顔をした。