2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Fourteen --**
タバコの煙を深くはくと、ヒデは今度はしっかりとワタシの目を見て話を切り出した。
「単刀直入に言います。直貴からは手を引いてください」
ワタシは、カプチーノを飲もうとカップの取っ手に添えた手が固まった。
その手だけじゃなく、全身のあらゆる機能が一時停止した。まばたきも思考も口も、呼吸さえ止まった。
「このままじゃ直貴がかわいそすぎます。だから直貴からは手を引いてください。お願いします」
ヒデはテーブルに額がつきそうなくらい、深く頭を下げてそう言った。
「……」
ワタシは何も考えることができずに、ただヒデを見ていた。
「……雪とは1ヶ月前、栞さんが直貴と一緒に帰ってきた日に別れました。そのとき、雪にもう現われないでって言われたけど、でも……」
ヒデはそこまで言うと、ゆっくり顔を上げた。
「……別れてたの……?」
ワタシは消え入りそうなくらいか細い声で聞いた。もう、それくらいの声しか今のワタシには出せなかった。