2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Fourteen --**
「聞いてないんですか?」
「……何も……」
ヒデの呆れたような口調に、ワタシの声はさらに小さくなった。
ヒデは大きくため息をつくと、乱暴にタバコを吸った。
「こうして栞さんと会っている今も、俺は怖くてたまりません。それが雪と別れることになった発端です」
「……」
「元を正せば全部栞さんが悪いことなんじゃないですか?栞さんの不幸に俺たちを巻き込まないでください」
「……」
ワタシは、ヒデの氷のように冷たくて突き刺さる言葉に何も言えなかった。
正確に言うと、ワタシは言葉を持っていなかった。初めから持っていないものを出せるわけもなく、鋭い痛みに必死に耐えていた。
「直貴も直貴だ。愛情と同情の区別もつかないまま、ズルズルこうしてつき合いやがって」
ヒデはそう言って、悔しそうにタバコを灰皿に押しつけた。
「俺たちと栞さんは違うんすよ。いつまでも元気でいられる保証なんてないじゃないですか。栞さんは直貴の悲しむ顔が見たいんですか」