2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Two --**
「……小峯栞さん、確かにあんたは強そうだ。それならきっと大丈夫だ」
背後から聞こえたその人の声に、ワタシは涙が出そうになった。
――よかった。部屋も外も暗いんなら、ワタシの顔も見えないな……。
ワタシはフラつく足をなんとか前へ出して、2年間住んだ部屋をあっけなく出た。
背後にワタシがいつバランス崩しても支えられるように気遣いながらついてくる、その引っ越し屋さんを別にして。
この部屋から通ったあの会社も、そこでしたほんの少しの恋も、ただ1人ワタシを“トモダチ”と言った雪も。
そして、ここにいたワタシの生活や気持ちや得たものの“全て”を置いていく。
ワタシはワタシをリセットする。一回クリアしたゲームをまた始めからやるためにリセットボタンを押す。そんな感覚。
そう。
これはゲーム。
ゲームの中でならワタシは生きていける。
飽きたらその都度リセットする。それがなぜか、ワタシにとっては2年おき。
ただそれだけのこと。