2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Fourteen --**
「栞さんに言おうかどうか、1ヶ月以上悩んできたんですけど、でも考えても考えても俺にはこんな考えしか浮かびませんでした。雪や直貴みたいに受け入れられないんです……」
ヒデは泣いているんだろうか。
視界が歪んでよく見えないけど、目にかかる前髪が小刻みに震えていた。
「……ごめんなさい」
やっとかすかに動いたワタシの唇から出たのは、その言葉だけだった。
直貴にも、雪にも、
そしてヒデにも……。
3人に言えるのは、この言葉以外ワタシにはなかった。
「こういう考えてもあること、栞さんにも分かってほしくて……、すみません……」
ヒデはそう言って、コーヒー代を残して喫茶店を出ていった。
ドアの上に付いている年季の入ったベルの音が、ヒデが店を出たことを教えてくれた。
そこでワタシは、今までこらえていた涙が溢れだした。
その店で飲んだカプチーノは、舌にも鼻にも、体のどの部分にも全く感じなかった。
ただの涙の味だった……。