2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Fourteen --**



俺のほうこそ焦っていたんだ。
ビールを出そうと栞が立ち上がったときにつかんだ腕、なんだか前より細くなった気がして焦ったんだ。


恐る恐る俺を見る栞の目の中に、悲しみに負けそうな情けない自分の顔が見えた。


話したくないことを無理やり話させたって、栞にも俺にもシコリが残る。


大晦日の日、俺が樹紀のことを話す決心をしたときの気持ちをすっかり忘れていたんだ。


それからの食事は、息が詰まる思いだった。


栞に悪いことをした、そればかりが頭の中を占領していた。


もう少し栞の部屋にいようと思っていたけど、なんと声をかけたらいいか俺には分からなかった。


母さんには、朝に“帰り、夜中になるかも”なんて言って家を出てきたけど、そういう雰囲気でもなかった。


家に帰るとき、俺の背中に栞はこう言った。


「……直貴、ごめんね。ちゃんと話すから、もう少しだけ待って」


“待つ”っていつまでだ?
“もう少し”ってどのくらい?
 

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