2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Fourteen --**



栞の歯切れの悪い言い方に、俺はうまく笑えなかった。


栞の望む笑顔は、この時の俺にはできなかったんだ。


それでも栞は、俺にチョコとクリスマスのお礼を渡してくれた。


体調だって万全じゃないだろうにチョコを手作りしてくれた。


――これで最後になるかもしれない、なんて思ってるのかな……。


そう思うと、笑って安心させなきゃいけないのに、笑えなかった。


家に帰って栞がくれたチョコを見てみると、さらに俺は笑えなくなった……。


――こんなのってありかよ……。


俺の顔を型取ったチョコが、ざっと見ても20個はあった。


手作りチョコなんてしたことないから分からないけど、ハートとか星の形に作るのだって時間はかかるだろう。


チョコを溶かして形に流して固める、それくらいの知識はある。


だから、栞がどれだけ苦労と時間をかけて作ってくれたのか、いつから準備を始めていたか……。


バカな俺にだってよく分かった。
 

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