2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Fifteen --**



正直なところ、頭の片隅のほうで“栞を抱けない”現実に我慢できなくなっている自分がいる。


恋人同士なら普通にすることが栞と一緒にいるがためにできない。


一般的にする“普通”が俺と栞の間にはないんだ。


気持ちだけで保(モ)たせる関係。その重みに耐えられなくなっている俺がいる。


――重いな……。


あれから幾度となく頭を駆け巡る“重い”の2文字。


いったん気持ちが下降をはじめると、自分ですらそれを止めることはできない。


情熱の炎がシュ〜と情けない音を立てて日に日にしぼんでいくのが分かる。


分かるけど止められない。


止めようとすればするほど、それは加速度を増して急降下していくんだ。


バレンタインの日を境に、俺の中にはそんな気持ちが芽生えはじめていた。


何日も経たないうちに、それはどんどん成長していく。


葉をむしり取っても太い枝を折っても、幹は太く、俺の力が届かないところまで成長していた。
 

< 345 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop