2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
正直なところ、頭の片隅のほうで“栞を抱けない”現実に我慢できなくなっている自分がいる。
恋人同士なら普通にすることが栞と一緒にいるがためにできない。
一般的にする“普通”が俺と栞の間にはないんだ。
気持ちだけで保(モ)たせる関係。その重みに耐えられなくなっている俺がいる。
――重いな……。
あれから幾度となく頭を駆け巡る“重い”の2文字。
いったん気持ちが下降をはじめると、自分ですらそれを止めることはできない。
情熱の炎がシュ〜と情けない音を立てて日に日にしぼんでいくのが分かる。
分かるけど止められない。
止めようとすればするほど、それは加速度を増して急降下していくんだ。
バレンタインの日を境に、俺の中にはそんな気持ちが芽生えはじめていた。
何日も経たないうちに、それはどんどん成長していく。
葉をむしり取っても太い枝を折っても、幹は太く、俺の力が届かないところまで成長していた。