2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Fifteen --**



結局何もしないまま休みは終わりまた仕事漬けの毎日に戻った。


そんなある日、珍しく平日に栞からの呼び出しがあった。


気が進まないとまではいかないけど、なにせこんな不安定な気持ちだったから足取りはすごく重かった。


栞が待ち合わせ場所に指定したのは、あの川原の1本桜だった。


去年の大晦日にフラれたり、1月にお互いの気持ちを確かめ合ったりした、あの桜の前だった。


春が近づいているとはいえ、夜はまだまだ寒さが厳しい。


お互いの休みが合うときや外じゃなくてもいいんじゃないかと提案してみたけど、栞は俺の話を聞き入れてくれなかった。


口調は出会った頃と比べて格段に優しくなってはいたけど、呼び出しのときの栞の声は、優しさの中に強い意志が感じられた。


しかも俺たちにとって重要な意味を持つ場所だったから、ただの世間話程度の話ではないことが容易に想像できた。


俺は栞と会う楽しさよりも、何を聞かされるのかという怖さのほうが大きかった。
 

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