2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
重い気持ちを抱えながら川原まで行くと、栞がベンチに座っているのが見えた。
俺は車のミラーを見ながらなんとか笑顔を作り、気持ちを悟られないように軽快に車から降りた。
栞は、土手の上に車が走ってきた音やドアを閉める音、自分に向かってくる足音……そういう音が聞こえているはずなのに俺のほうを振り向かなかった。
それが、俺にはただならぬ決心をしてここに座っているように思えた。
「お待たせ。待った?」
俺はできるだけいつも通りの声を出して栞の背中に声をかけた。
「ううん。寒いとこに来てもらっちゃってごめんね」
栞は俺に少し笑いかけた。
「いいよ、大丈夫。もこもこのジャケット着てるし」
「そっか」
こんな何でもない少しの会話の中でも、栞の言葉の節々からはピリピリとした緊張感がうかがえた。
それから俺はベンチに座り、真っすぐに前を見る栞の横顔を見ていた。
その会話のあと、栞は複雑な顔をしたまま黙っていた。