2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
「じゃあ、もう1個ね」
「もう1個?」
「うん。ストーカー宣言したときのメモ。それに書いてあった“9割”ってなに?」
そういえば、栞との話の中であのメモの話題になったことは今までなかった。
俺はもうとっくに忘れていたし、栞だってもう忘れていたと思っていた。
「あ〜、あれは……」
今度は記憶の糸をたぐり寄せなくてもすぐに思い出せた。
――なんて説明しようかな……。
今思えば、あの“9割”は栞にとってすごく失礼なことに当たる。
あの時は栞の興味を引きたくて、上がったテンションのままにノリでやったことだった。
栞は“あれは……”と言ったまま言葉に詰まった俺を焦らすわけでもなく、辛抱強く次の言葉を待っていた。
「栞が心から笑ってくれたら、教師の夢をちゃんと諦められるような気がして……。だからあの“9割”は、俺の優しさのつもりだったんだ」
「……え?なんで100パーセントじゃなかったの?」