2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
栞は曖昧な答えに納得いかなかったみたいだった。
俺は、怒られるのを覚悟して本当のことを話すことにした。
隠してたってどうにもならないことだし、嘘をついたって後々バレるかもしれない。
それなら今話してスッキリしたほうがいいと思ったんだ。
「うーん、正直に言うと……、あの頃は栞はキツい人だと思ってたから。そんな人を素直にさせることができれば、俺自身が満足するだろうって。教師の未練を断ち切るために……利用しようとしてたのかもしれない」
「ふ〜ん」
怒られはしないかとビクビクしながら話す俺とは反対に、栞は穏やかにそう相づちを打った。
「ほんとの意味の“9割”は、全部優しさをつぎ込むとあとで栞に何を言われるか怖かったから、撃沈しないための保険……みたいなものだった。ごめん」
「へ〜、なるほどね〜」
栞は笑みを浮かべながら納得がいったようにふむふむと何度か頷いた。
それでも顔は俺には向けず、真っすぐに前を向いていた。