2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Fifteen --**



何も言葉を返せない俺を気にする様子もなく、栞は次の言葉を話すために息を吸った。


「直貴とつき合ってみて分かったことがある。直貴には夢がない。自分が先生になれなかったことを弟さんの夢と死んじゃったせいにして逃げてるんだよ。夢を叶えられる土台も力もあるのに、弟さんのせいにしてるの」

「……」


――栞に俺の何が分かる……?


栞の言葉に、俺の怒りがどんどん込み上げているのが分かる。


自分のことは1つも話してくれないのに、よく俺には言えるものだな。


そんな感情が渦巻いている。
分かったふうな口をきくな、そう言いたいのをグッとこらえた。


「今のワタシの夢は、来年の春まで……桜が満開に咲くまで生きること。そんな小さい夢も、もしかしたら叶わないかもしれない」

「……」


――今、なんて言った?


俺は、また言葉が出なかった。


「直貴とワタシは違う。持っている夢も時間も違う。やっとそのことが分かったの、最近になって」
 

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