2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
――時間が違う……?
栞の言っていることが俺にはさっぱり分からない。
死ぬのか、あとたった1年生きることが栞の夢なのか……。
「直貴にはたくさん時間がある。ワタシには限られた時間しか残ってない。それに気づいて、やっと本当に病気を認められたの」
栞が何か話すたび、白い息が出ては消えていく。俺はそれを見ていることしかできなかった。
「……だから、ワタシは同じ時間を生きる人のそばに行こうと思ってる。正直言って、いろんな面で頼れるのはその人しかいないの。精神面とか金銭面とかね……」
「……長坂さん……」
俺の頭には、長坂さんしか浮かんでこない。俺は小さな声で“長坂さん”と言った。
栞は“うん”と首を1回振った。
「今日はそういう話をしに、ここまで来てもらったの。これでワタシの肩の荷は降りたよ。たぶん、直貴もそうだと思う……」
栞はただ真っすぐに前を向いて、淡々と語った。その横顔からは、涙の欠片さえ見えなかった。