2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Fifteen --**
栞はいつも先に行ってしまう。
俺はいつも置いていかれる。
相談もなしに1人で決めて、それを貫こうとする。
いつも後から聞かされる俺の身になったことがあるか、考えたことがあるか。
「今度こそちゃんと魔法はとけたよ、直貴……、だからバイバイ」
栞は最後にそう言って、月のように柔らかくどこか儚げな笑顔を見せて帰っていった。
俺の車には乗らず、自分の足でしっかりと地面をとらえて……。
俺はまたこの場所から1歩も動けなかった。
今度は虚脱感なんかじゃなく、心のどこかで求めていた“安堵感”だと言ってもいいくらいだった。
栞と同様、俺も涙は出なかった。
“いずれ死ぬ人のそばにいても自分が辛くなるだけだ”
この時の俺の頭には、そういう考えをした自分しかいなかった。
栞を追うことよりも、ここに留まることを俺は選んだんだ。
栞は俺の愛情だけではない部分の気持ちを察して、自分から別れを切り出したんだ……。