2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Two --**
「いってきま〜す!」
20分後。
早々と俺は会社に出かけた。
こういうときの母さんには関わらないほうが身の安全が確保できるから。
俺が今している仕事は引っ越し屋さん。家から歩いて5分くらいのすごく通いやすい場所にある。
小さい会社ながら仕事はけっこう多いほうで、小さい会社だがらアットホーム。
俺自身、引っ越し屋の仕事が気に入っている。
やりがいもあるし、何よりお客さんとの会話が楽しい。
うちの会社だけかもしれないけど1人で引っ越しする人限定で荷物と一緒に人も運ぶんだ。
なんでも、社長が若い頃引っ越しをしたときに担当してくれた引っ越し屋さんがすごくいい人で、トラックに乗せて引っ越し先まで送ってくれたそうだ。
それ以来、社長は引っ越し屋になることを夢に、サラリーマン時代に一生懸命貯金をして、定年と同時にこの『ニコニコ引っ越しセンター』を始めたそうだ。
それが、俺がここに引っ越してきてから3年後の10歳の頃だった。