2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Sixteen --**
「……栞ちゃんはおかしい。入院するからって何も死ぬわけじゃないでしょ?身辺整理までして。これじゃあ元気にならないみたいじゃん」
雪はとたんに静かな口調に変わって、声を震わせながら言った。
「……」
ワタシは沼の精からの予言を言うべきかどうか悩んだ。
雪が、ワタシが部屋を引き払うのを不思議に思って聞いてきたときの答えも用意していた。
でも、雪はワタシの特別だから。
特別な人にはちゃんと話しておきたい。
そう思う反面、雪がワタシの余命を聞いて離れていくのが怖い。
ヒデの言葉が頭の中をエコーを利かせてぐるぐる回る。
―『今だけじゃないんです、1年後……10年後……20年後……、先のことを見据えてほしいんですよ、栞さんには』―
ワタシは雪に何と言ったらいいか分からなくなっていた。
「栞ちゃんが言う友だちってこんなもの?前に言ってたよね、友だちができたら何でも話したい、一生大事にしたい、って。あたしにはまだその資格がないの?」