2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Sixteen --**
ワタシにだけ降り注ぐ友情の桜の花びらに、ワタシはこの時、今年の桜も来年の桜も見なくてもいいくらい、まぶたの裏にたくさんのピンク色の桜を見た。
母親に甘える子どものように、ワタシは雪の細い体に甘えて泣き続けた。
先に逝く身のワタシと、後に残される身の雪。
けして時間を共有してはいけないと思っていたのに、ワタシの中にはまだ生きたいと思うワタシがいた。
雪と同じ時間を生きたいと思うワタシが、ここに確かにいた。
雪との友情と、直貴との愛情、ワタシはそのどちらも諦めようとしていた。
諦めてあの人と同じようにひっそりと死を迎えようと思っていた。
ヒデの言葉に、ワタシは今日少しだけ逆らうことにした。雪が言った“友情”を信じよう。
雪が咲かせてくれた友情の桜。
どうかワタシが死ぬその時まで、散らずに咲き誇っていてほしい。
雪にも、どうかワタシが咲かせる桜を感じてほしい。
甘えているのは百も承知。
だけど、雪との友情は離したくない……。