2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Sixteen --**
結局、栞は最後まで自分のことをほとんど話さなかった。
栞が言ったことの、どこからが本当でどこまでが冗談なのか。
考えるのも嫌になるくらい、俺には栞の本音が何も見えない。
しまいには全部嘘に思えてきて、今までの日々は一体何だったのかと頭を抱えた。
俺は、栞の中のランクでは“都合のいい男”的な位置だったんだ。
栞が泣きたいときには胸を貸してやって、寂しいときには一緒にいてやって、眠れない夜は遅くまで電話やメールをしてやる、それくらいの存在だったんだと改めて気づかされた。
それに、俺とつき合っている間もあの彼――長坂さんとは完全に切れていなかったじゃないか。
何が精神的にも金銭的にも頼れる人は長坂さんしかいない、だ。
俺じゃあ栞の支えにならないってわけか、金が無いからもう必要ないってわけか。
最終的に長坂さんのほうに行くのなら、どうして俺なんかとつき合おうとしたのか。
やけ酒を飲むネタに困ることはなかった。