2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Two --**



――吉田さん、あなたは俺に、あわよくばつき合えと、そうおっしゃりたいのですか?


「はぁ……」


フッフ〜ンと鼻歌を歌いながら仕事に戻る吉田さんの後ろ姿に、俺は長いため息をついてしまった。


きっちりしてるけど、こういうオチャメなところもある吉田さん。


――できれば、きっちりのほうを全面的に出してはくれまいか。


吉田さんは会社のことも社員のことも、何でも知っている。


もちろん俺に彼女がいないことも吉田さんは知っている。


誰にも話したこともないのに、なぜ……?


――まぁいいや。どうせ1日だけのつき合いだしな。


そう気を取り直して、俺はその書類に目を通すことにした。


まずは名前をと、依頼主の名前を見たときだった。


俺は自分の視力を疑った。


「……小峯栞」


思わず口に出して名前を言ってしまった。


――吉田さん、わざと俺に?


そう聞こうと思ったけど、思い直してやめた。
 

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