2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- One --**
**-- One --**
ワタシは颯爽(サッソウ)と風を切って歩くのが好き。
寒い冬でもそれは同じ。デキる女に見られたいとか、かっこいい女に見られたいとか、そんなことはどうでもいい。
風を切る瞬間が好き。
それは学生の頃にやってた陸上の影響なんだと思う。
短距離だって長距離だって、競歩だってハードルだって、風を切る瞬間さえ楽しめればそれでよかった。
苦しいのは好きじゃないけど、ランナーズハイになったときの高揚感、足の軽さ、風を切る音……快感だった。
でも、ワタシは補欠の補欠。一度も選手として大会に出たことはなかった。
それを悔やんだり情けないと思っているわけじゃない。ランナーズハイの快感と、打ち込めるものが欲しかっただけだから。
そしてワタシは今も、颯爽と風を切って寒い夜の街を歩いている。
ツンと鼻の奥に伝わる秋の終わりが、ワタシに冬の始まりを告げていた。
夏に終わるはずだったほんの少しの恋。それがこの時期まで長引いたのは、ワタシがどうかしていたからだ。