2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Two --**



これまたなんて不便な言葉を思い出してしまったんだろう。


自分の国語辞典好きが裏目に出てしまった。


「吉田さん、あの」


俺は、思い切って担当を変えてもらおうと吉田さんに声をかけた。


「却下」


――えぇぇーっ!


「俺、まだ何も言ってないじゃないですか」


と反論してみるものの、吉田さんは書類を片付けながら言った。


「私はみんなのことを考えて仕事を割り振りしてるのよ。仕事は仕事。だから却下は却下」


話をする前からバッサリ斬られてしまった……。


「……は〜い」


吉田さんには誰も逆らえない。やっぱり裏のボスだと痛感した瞬間だった。


アットホームな会社だけど、それを可能にしているのは社員全員の徹底した仕事ぶりと、仕事に対しての誇り、優しさと厳しさのおかげだ。


学生気分の“友だち感覚”じゃないってのが、わびさびがあってカッコいいところ。


社会人なんだって改めて再確認もできるところなんだ。
 

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