2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eighteen --**



入院してから約半年。
社会から離れて生きてきたワタシには、花火大会は一大イベントだった。


もちろん春には桜を見たし、ゴールデンウィークだって梅雨の時期だって、病院の中でではあったけど、ワタシは体験した。


病院の中でできることはそう多いわけじゃないけど、特に少なくもない。


毎日の天気を窓から眺めるのも楽しいし、敷地内の木や草がどんどん青々としていく様子を観察するのも楽しい。


イベントらしいイベントがなくたって、ワタシの日々は充実していると言っていいくらいだった。


でもね。
夏といえばやっぱり花火大会。


“花火大会に心が踊らない人っているのかな?”なんて思ってしまう。


いくら病気を患っていたって、楽しみなものは楽しみなんだ。


ワタシは自然と笑顔になる。
雪はワタシのそんな顔を見て、うれしそうにニコッと笑った。


「それでさ、栞ちゃん。せっかくの花火大会なんだから、浴衣でも着てみたいなぁ〜なんて思わない?」

「浴衣?」
 

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