2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Two --**
「吉田さん、すんませんした!」
俺はニカッと笑って頭を下げた。
「いいわよ〜、気にしないで!」
吉田さんもニコッと笑ってそう言ってくれた。
これが本当の“アットホーム”なんじゃないかなと、俺は思う。
そうこうしていると、他の社員も続々と出勤してきた。
そして朝礼が始まり、今日の仕事の流れを全員で確認、個々のトラックの安全点検……、瞬く間に小峯栞の部屋へ引っ越しの荷物と本人を預かりに行く時間になった。
――俺は引っ越し屋でこれは仕事だ!さぁ、行くぞ〜!
『プップー』
なんだか今日は清々しい気分だったから、会社を出るときにクラクションを軽快に鳴らしてみた。
快調に車は流れる。
これだと、指定された時間、午前9時よりは早く着きそうだ。
――少しイタズラでもしてみよっかな。
全く知らない人じゃないしな、なんて思いながら、俺は道ばたにトラックを止めて小峯栞のケータイに電話をかけた。