2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- Eighteen --**



「雪の気持ちはありがたいけど、でももう……」


『ヒューッ!』


ワタシがそう言いかけたとき、花火がまた一斉に空に昇った。


「……ごめん。力になれなくて」


雪が言った瞬間、


『ドーンッ!』


花火は夜空に弾け散った。


少しのインターバルをおいて打ち上がった花火は、ワタシたちの小さな声をかき消すようだった。


“何も言わずに俺たちを見ろ”と言っているかのような、力強い花火。


それでいて“私たちを見て”と囁くように、下のほうで優しく支える花火。


ワタシたちはしばらく、その力強さと優しさのコントラストの花火を無言で見ていた。


花火大会が終わる9時近くになっても、ワタシたちは何もしゃべらずに花火だけを見ていた。


最後の力を振り絞るようにして、前の比じゃないくらいに咲き乱れる花火を見ていたときだった。


ワタシたちが座っているベンチの後ろに、人が立っている気配を感じた。




……懐かしい直貴の匂い。
 

< 414 / 613 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop