2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Eighteen --**
「雪の気持ちはありがたいけど、でももう……」
『ヒューッ!』
ワタシがそう言いかけたとき、花火がまた一斉に空に昇った。
「……ごめん。力になれなくて」
雪が言った瞬間、
『ドーンッ!』
花火は夜空に弾け散った。
少しのインターバルをおいて打ち上がった花火は、ワタシたちの小さな声をかき消すようだった。
“何も言わずに俺たちを見ろ”と言っているかのような、力強い花火。
それでいて“私たちを見て”と囁くように、下のほうで優しく支える花火。
ワタシたちはしばらく、その力強さと優しさのコントラストの花火を無言で見ていた。
花火大会が終わる9時近くになっても、ワタシたちは何もしゃべらずに花火だけを見ていた。
最後の力を振り絞るようにして、前の比じゃないくらいに咲き乱れる花火を見ていたときだった。
ワタシたちが座っているベンチの後ろに、人が立っている気配を感じた。
……懐かしい直貴の匂い。