2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eighteen --**



“今さら……”


今さらだと分かっている。
分かっているけど、俺は病院に走らずにはいられなかった。


ごめん、香織(カオリ)……。
1人で置いてきてしまって。


許さねぇぞ、ヒデ。
あとで1発殴らせろ!


悪かったよ、雪ちゃん……。
何度も連絡くれたのに無視して。


間に合ってくれ……、栞。
俺のためだったなんて知らなかったんだよ……。


俺は走った。
ヒデから電話をもらったとき、今まで鍵をかけていた栞への想いが一気に溢れ出した。


花火を見ようとごった返す人込みの中をかき分けて、シャツの袖をつかむ香織の手を振りほどいて、俺は走った。


雪ちゃんから聞いていた栞の入院先へ、俺は一目散に走った。


もう思い出すことはないと思っていたのに、栞のことは忘れたはずなのに……。


足が勝手に、いや、俺自身の意志が病院へ足を運ばせたんだ。


半年の時間を経て、俺はたった今自分の気持ちに気づいた。
 

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