2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eighteen --**
『ブー、ブー、ブー……』
ズボンのポケットに入れていたケータイが鳴った。
俺は花火を見上げながらケータイを取り出し、画面に出た名前を確認する。
――ヒデか。何だろう?
「ごめん、ダチから電話」
俺は、花火の音と人の声にかき消されないように、香織の耳元に口を近づけて言った。
「うん」
「ここにいて。すぐ戻るから」
「分かった」
香織にそう断りを入れて、人をかき分けて静かな場所を求めた。
いつもなら5回くらいのコールで出なかったら切れるのに、今日のヒデからの電話はなかなか切れない。
珍しいこともあるもんだなと思いながら、人ごみを抜けるのと同時に通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「あ、直貴か。悪ぃな、花火見に来てるんだろ?」
それほどクリアじゃないだろうけど、ヒデにも花火の音が聞こえたらしい。
「おぅ」
「1人?」
「バカ言え、香織と来てんだよ」