2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Two --**
向こう側から規則正しい呼び出し音が聞こえる。
10回鳴らしたけど出なかったから電話を切った。
――あれ。出ねぇや。
俺はすぐにリダイヤルした。
「……はい」
――出た!
5回目くらいのコールで小峯栞は電話に出た。
「『ニコニコ引っ越しセンター』の者ですが」
――やっべ!超たのしー!
裏返りそうになる声を必死に押さえながら、俺はいつもの元気な“営業用”の声でそう言った。
「はい。どうも、お世話になります」
――以外と礼儀正しいじゃん!
それから事務的な会話をして、最後に一言。
「あと10分程度で伺いますので、よろしくお願いいたします!」
――これでイタズラ完了!
実はもう、おれは小峯栞が住んでいるアパートの前にいたのだ!
あとは玄関のチャイムを鳴らして驚かすだけ。
っとその前に……、会社の帽子をもっと深く被ってカモフラージュだ!