2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eighteen --**
――……ふざけんじゃねぇよ。
俺の体は、不思議なことに以前とは全く違っていた。
真相心理の奥の奥で、一斉に栞を求めはじめたんだ。
『ズサッ!』
右足が1歩、香織が待っている方向とは違う方向に出た。
草と土の匂いが混ざり合って鼻まで届きそうなくらいだ。
「行くな!」
右耳に押しつけたケータイから、俺を必死に止めようとするヒデの声が聞こえる。
『ズサッ!』
その声に逆らって、もう1歩、右足と同じようにして左足が出た。
「“今さら”なんだよ、直貴!」
“行くな!”と言ったときより格段に強い声。
俺はこのとき、頭の中にも心の中にも栞しかいなかった。
香織ではなく……栞。
今も必死で病気と闘っているであろう栞しか、俺には浮かばなかった。
「今の直貴なら大丈夫だと思ったから、だから俺は言ったんだ。確かに黙ってたのは悪いと思ってんだよ。だけど直貴のためだと思ったから俺は……」