2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
 
**-- other side Eighteen --**



「ボッコボコにしても文句言えねぇよな?」


『ブチッ!』


そう言って、俺は電話を切った。ごちゃごちゃと御託(ゴタク)を並べるヒデに友情の脆さを感じた俺は、尖った牙のように冷たく言い放った。


悪いけど、今のヒデの言葉は言い訳にしか聞こえなかい。


“今さら”なのは分かっているけど……でも俺は、止まれないし止まる気もない。


『ブー、ブー、ブー……』


すぐにまたヒデから着信が入る。


俺は電源を切った。
ヒデからだけじゃない。
今は、香織からだって連絡は入ってほしくない。


大きな川が洪水で溢れるように、栞への想いが溢れ出す。


それはまるで、濁流に飲み込まれるような感覚。


そして、その川で育んできたものの全てが無に還るように、俺の心もリセットされた。


それはまるで、ずっと前から決められていたかのような感覚。


俺の心は正直だった。
香織に求めていた栞の影、それが俺の正直な心だったんだ。
 

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