2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eighteen --**
――栞に会いに行かなきゃ絶対後悔する。
そう思ったまさにその時……。
「どこ行くの?」
その声とともに、俺のシャツの裾(スソ)が後ろに軽く引っぱられた。
香織の声。
何かを感じたような香織の声は、俺に置いていかれるかもしれないという恐怖で震えていた。
俺は振り返ることができない。
「なかなか戻ってこないから。心配になって探しに来ちゃった」
裾をつかむ香織の手に力が入る。見えなくても、それは感覚で嫌でも伝わってくる。
「……ごめん。行かなきゃいけないとこができたんだ」
「……モトカノ?」
今にも泣き出しそうな声で香織は聞く。
「……違うよ。病気で入院してる友だちのとこ」
俺は嘘をついた。
もしも俺がピノキオだったら、鼻の先が見えないほどグーッと伸びているだろう。
だって俺は、この半年で嘘に嘘を重ねていたんだから……。
「……そう。じゃあ、気をつけて行ってきてね」