2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eighteen --**
その言葉とは裏腹に、香織は裾を放そうとしない。
「ごめん」
何が“ごめん”なんだろう。
俺は自分が情けなくて大嫌いだ。
「いいよ。私なら1人で帰れるから平気」
「あとでちゃんと話すから。急な呼び出しで困っちまうよな。ハハッ……」
何が“ハハッ”なんだろう。
この期に及んでまだ嘘をつき続ける俺は、男として最低だ。
「直くんじゃなきゃダメなんでしょ?……行ってあげて」
香織の精一杯の優しさ。
“女の勘”は男なんかよりはるかにすごいことを、たった今俺は痛感した。
「送ってやれなくてごめん。浴衣着てるんだから転ばないようにして帰れよ」
「うん。ありがとう」
香織の声は会話を重ねるごとに震えを増していた。
だけど俺は、それに気づかないふりをしていた。
最低な男が辿る運命はもっと最低になると相場は決まっている。
今をとるか昔をとるか……。
どちらを選んだとしても、最低には変わりはない。