2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- other side Eighteen --**
俺はためらうことなく、その扉を開けた。
少しずつ見えてくる屋上の風景。物干し竿があったり隅っこに申し訳程度に喫煙所らしきものがあった。
ベンチも四方に何個もあって、どこからでも病院の周りが見渡せるようになっている。
そのどれもが影のようにひっそりとした佇(タタズ)まいを見せ、なんとなく輪郭だけは分かるような印象だった。
息が上がった心臓は、今度は緊張で高鳴りはじめた。
フラつく足をなんとか動かし、俺は今まで花火が上がっていた方向へ向かう。
その一角はさらに暗く、目を凝らしても栞の姿は見えない。
――もう病室へ帰ったのか……?
そう思った瞬間、半年ぶりに見る栞の後ろ姿が目に入った。
その隣には、雪ちゃんらしき人が付き添っている。
俺の心臓は、いよいよ今までにないくらいに早く鼓動を刻みはじめる。
ゆっくり、ゆっくりと、俺は歩を進める。そして、花火が消えるのとほぼ同時に、俺は栞の後ろに立った。