2年おきの恋。-偶然と必然と運命と宿命-
**-- Nineteen --**
「今さら何を言ってるの?」
しばらくの沈黙のあと、ワタシはそう言った。
否定する気持ちが勝ったのだ。
「……」
直貴はガックリと肩を落としたみたいだった。目をつぶっているから見えないけど、まだつながれた手に伝わった振動から想像できた。
「ワタシ、明日も朝から検査とか点滴とか、いろいろあるから忙しいの。あなたに割いている時間はないわ」
カッと目を開け前を見て、ワタシは涙を奥に押し込めて言った。
――立ち上がらなきゃ……。
支えてもらわないと1人で戻るのはしんどい。
だけど、雪はいないし直貴の手は借りたくない。
ワタシは立ち上がろうと足に力を入れた。
ヨロヨロと立ち上がるワタシを見て、直貴はどんな顔をしているのだろう。
半年ぶりに会ったモトカノがこんなにヨボヨボだったなんて……、という驚愕の顔でもしているんじゃないだろうか。
だから会いたくなんてなかった。こんな姿を直貴にだけは見せたくなかったんだ。